【シダ抽出物】
シダ抽出物とは、中南米に自生するシダの一種のダイオウウラボシ
(別名 ポリポディウムロイコトモスPolypodium leucotomos)の抽出成分です。世界中には、8000種を超えるシダ植物があり、そのほとんどはウラボシ科に属しています。
シダ抽出物には、多くの薬効が認められています。
- 様々な皮膚疾患
- 日焼け止め
- 疫調節作用と抗酸化作用
シダ植物のエキスは、伝統的に湿布の形で利用されており[1]、南米や欧州ではよく用いられてきました。南米種であるポリポディウムロイコトモスのエキスは多くの適応症の治療用に市販されており、乾癬、関節炎、皮膚炎、百日咳、の効果を目的として用いられています。スペインではDifurの商品名で医薬品として白斑や乾癬に使用されています[2]。現在も主に経口摂取での白斑の治療や日焼け反応の防御を中心として、様々な皮膚疾患の治療研究が行われています[3]。
シダ植物由来の日焼け止め成分の多くのは医療用に用いられており、その効果の一つに紫外線による皮膚障害に対する効果が報告されています。シダエキスは紫外線防御に対し、抗酸化作用、免疫防御作用、細胞DNA保護作用、皮膚構造の保存の4つ効果があるといわれています。
抗酸化作用
紫外線 (UV) が皮膚にあたることで炎症反応が起こり、体内に活性酸素やフリーラジカルが発生してしまいます。そのことで、日光弾性症や皮膚癌の原因となる可能性があります[4]。研究報告では、シダエキスには、活性酸素、脂質過酸化反応の発生に対する抗酸化作用が認められ[5]、活性酸素を阻害することが確認されました[6]。
免疫防御作用
紫外線を浴びると免疫の抑制が起きます。 シダエキスには、その影響を抑制するという特性があり、皮膚細胞の保護効果が研究により示されました。[7]
細胞DNA保護作用
紫外線はDNAの損傷ももたらします。シダエキスは紫外線照射によって生じる日焼け細胞数を減少させ、DNA損傷を減少させます。
皮膚構造の保存
紫外線を浴び続けると光老化と呼ばれる皮膚の肥厚、弾力の喪失、しわやたるみといった状態になります。光老化は、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)産生増加によって引き起こされることが知られています。シダエキスは、紫外線照射によって誘発されるMMPの産生を抑制する効果があります[8]。また、皮膚の色素障害によって起きる白斑は表皮のメラニン細胞の減少が原因です。シダエキスは免疫調節作用と抗酸化作用を持つことから、白斑の治療にも効果が期待されています[9]。
シダ抽出物であるポリポディウムロイコトモスが持つ抗酸化作用は、メラニン色素生成を抑制する働きをすることで日焼けや、シミを防ぎます。紫外線による皮膚へのダメージは、素早い対策を行うことが大切です。強い日差しが気になる夏などに、天然のシダ抽出物は、積極的に利用したい成分です。
システインホワイトEX (シダエキス配合)500mg 180粒 Cysteine White EX with Polypodium Leucotomos Health Doctor U.S (ヘルスドクターユーエス)
【参考文献】
(1)Winkelmann RR, Del Rosso J, Rigel DS. (2015-3). “Polypodium leucotomos extract: a status report on clinical efficacy and safety”. Journal of drugs in dermatology 14 (3): 254–261. PMID 25738847.
(2)Parrado C, Mascaraque M, Gilaberte Y et al (2016-6). “Fernblock (Polypodium leucotomos Extract): Molecular Mechanisms and Pleiotropic Effects in Light-Related Skin Conditions, Photoaging and Skin Cancers, a Review”. International journal of molecular sciences 17 (7). doi:10.3390/ijms17071026. PMID 27367679.
(3)Berman B, Ellis C, Elmets C (2016-2). “Polypodium Leucotomos – An Overview of Basic Investigative Findings”. Journal of drugs in dermatology 15 (2): 224–228. PMID 26885792.
(4)Manríquez JJ, Majerson Gringberg D, Nicklas Diaz C. (2008-12). “Wrinkles”. BMJ clinical evidence 2008. PMC: 2907965. PMID 19445782.
(5)González S, Pathak MA (1996-4). “Inhibition of ultraviolet-induced formation of reactive oxygen species, lipid peroxidation, erythema and skin photosensitization by polypodium leucotomos”. Photodermatology, photoimmunology & photomedicine 12 (2): 45–56. doi:10.1111/j.1600-0781.1996.tb00175.x. PMID 8897589.
(6)Gomes AJ, Lunardi CN, Gonzalez S, Tedesco AC (2001-11). “The antioxidant action of Polypodium leucotomos extract and kojic acid: reactions with reactive oxygen species”. Brazilian journal of medical and biological research=Revista brasileira de pesquisas medicas e biologicas 34 (11): 1487–1494. doi:10.1590/s0100-879×2001001100018. PMID 11668361.
(7)Capote R, Alonso-Lebrero JL, García F (2006-3). “Polypodium leucotomos extract inhibits trans-urocanic acid photoisomerization and photodecomposition”. Journal of photochemistry and photobiology. B, Biology 82 (3): 173–179. doi:10.1016/j.jphotobiol.2005.11.005. PMID 16388959.
(8)Philips N, Conte J, Chen YJ (2009-8). “Beneficial regulation of matrixmetalloproteinases and their inhibitors, fibrillar collagens and transforming growth factor-beta by Polypodium leucotomos, directly or in dermal fibroblasts, ultraviolet radiated fibroblasts, and melanoma cells”. Archives of dermatological research 301 (7): 487–495. doi:10.1007/s00403-009-0950-x. PMID 19373483.
(9) Reyes E, Jaén P, de las Heras E et al (2006-3). “Systemic immunomodulatory effects of Polypodium leucotomos as an adjuvant to PUVA therapy in generalized vitiligo: A pilot study”. Journal of dermatological science 41 (3): 213–216. doi:10.1016/j.jdermsci.2005.12.006. PMID 16423508.