スポーツ栄養学の重要性
スポーツをする人にとって、「トレーニング」「栄養」「休養」は最も重要なテーマである。その中において、ここでは特に栄養摂取を取り上げる。
トレーニングをすることによって身体に負荷をかけると筋肉組織は損傷し、筋肉中の酸素貯蔵体ミオグロビンは血中に漏出すると同時に、赤血球が破壊されることにより血中の酸素運搬体へモグロビンも失われる。つまり、ハードなスポーツやトレーニングは一時的に身体的にアンバランスな状態を引き起こす。それにも関わらず、日本においてはトレーニングそのものに重点が置かれ、スポーツ栄養学の重要性がまだまだ浸透していない面が見られます。正しい食生活とスポーツ栄養学を学ぶことがスポーツをする個人の身体能力を伸ばし、良いパフォーマンスを育むための必要条件とまります。トレーニング直後の人の体は、ミオグロビンやヘモグロビンが失われることで、鉄分が消費されています。特に日本のスポーツ選手には、鉄欠乏性貧血が多いとも言われております。一方で日本人より体格が良い外国選手が貧血になりにくいのは、アメリカやイギリスなど日本を除く50カ国以上では、小麦やとうもろこし、米などの主食等に鉄の強化が義務付けされているからです。鉄は体内への吸収率が非常に悪いため、補給する際には工夫が必要です。たとえば、鉄分を補給するためにレバーや貝類、海藻類、緑黄色野菜を食べたときは、同時に鉄吸収を促進するビタミンCやたんぱく質などの摂取を心がけ、吸収阻害物質であるタンニンを含む緑茶・紅茶・コーヒーなどを控えることがポイントになります。
また、スポーツをした後、最も大切なのは体内でのたんぱく合成を活発化することです。そのためには成長ホルモンの分泌を促進する必要があり、そのためには、トレーニング終了前の素早い栄養補給と早めの休息、睡眠がポイントになります。できるだけ早くプロテインサプリメントやアミノ酸などのサプリメントなどでタンパク質を補うようにすれば、体の筋肉合成が早まります。正しいトレーニングをしていても、食事や休養がきちんととれていなければ全体のパフォーマンスを高めることは困難なのです。活躍をしているスポーツ選手たちには基本的に規則正しい生活を続けることが必要条件なのです。
スポーツ時の骨折予防
長距離を走る人に多いのが骨折です。その原因としては、一般の人よりランニング量が圧倒的に多いことです。ランニング量が多いと、タンパク質中のコラーゲンが多量に分解されてしまい、骨折に至ることがあるのです。骨はコラーゲンにカルシウムとリンが結合し、骨組織を強固にしている。つまり、しっかりした骨をつくるためにはコラーゲン形成とカルシウム摂取の二つの要素が関わっているのです。コラーゲン形成を促進するためには、トレーニング後の軽いウエイトトレーニングや睡眠が重要になります。同時にビタミンCなどを補給することも大切です。
カルシウムを摂取するときは、脳や骨での吸収を高めるにカゼインやマグネシウム、リン、ビタミンD・C・Kの相互作用が関係してくるのでそれらを同時に補いたい。カゼインは牛乳に含まれる成分である。サブリメントでカルシウムとマグネシウムを摂取する場合は2:1の割合が理想的です。
スポーツとアミノ酸
人の生命を維持するために必要な栄養素であるタンパク質を構成しているのは、わずか20種類です。20種類のアミノ酸のうち、9種類のアミノ酸は、体内で合成することができません。 これを必須アミノ酸と呼び、食物から摂取する必要があります。
人間の体が必要とするたんぱく質を効率よく摂取するための考え方として、特にスポーツをする人たちに用いられているのが「アミノ酸スコア」である。これはFAO(国連食糧農業機関)とWHOが設定したもので、タンパク質の利用率は必要量に対して、最も少ない割合で存在する必須アミノ酸の量によって制限を受けることが分かっています。バランスよくアミノ酸が含まれている食品はアミノ酸スコアが100と評価されます。鶏卵や牛乳のアミノ酸組成のほとんどがアミノ酸スコア100です。日本人の食生活において、ごく普通の食生活をしていれば、アミノ酸スコアは100になり、不足することはまずないが、米を主食として、おかずをあまり食べない食生活の人は、穀物の第一制限アミノ酸であるリジンが不足するので、大豆や肉類などリジンを豊富に含む食品を一緒に食べつことを心掛けてほしい。
主なアミノ酸の働き
【BCAA(分岐鎖アミノ酸)】
バリン・ロイシン・イソロイシンの3つのアミノ酸を指し、体のたんぱく質を増やし、運動時のエネルギー源として利用されます。他のアミノ酸は小腸から吸収されて肝臓で代謝されるのに対して、BCAA は筋肉でも代謝されるので、トレーニングで筋肉を使う場合、BCAA がグリコーゲンや脂肪とともにエネルギーとなる。筋肉のタンパク質に多いアミノ酸で、筋力アップや運動時の持久力を高め疲労感を軽減する働きが期待されています。サプリメント成分としても需要の高い成分です。
【アルギニン】
血流改善、成長ホルモンの分超を促進する作用がある。筋肉増強などの作用が期待されるのでアスリートにも人気があるサプリメント成分です。
【グルタミン酸】
小麦や大豆に多く含まれる速効性のあるエネルギー源であり、運動時の疲労回復を促進する働きが報告されています。
【アスパラギン酸】
即効性のエネルギー源であり、持久力を増強する作用が知られている。栄養剤などの成分として利用されています。
スポーツをする方がアミノ酸を摂取する場合は、タンパク質の合成が高まるタイミングであるスポーツの直後にアミノ酸を摂取するのがおススメです。長時間、続けて運動する際には、運動前や運動中にもアミノ酸を補給するのがベストです。アミノ酸は持久力保持にも保有用であり、身体への負担軽減にもなります。また、有酸素運動の直後には糖質などを多く含む果汁飲料などをアミノ酸と一緒に摂取すると、筋タンパクをよりつくり出しやすくなるといわれています。
脂肪を燃焼させる栄養素
脂肪を燃焼させる栄養素については、世界中で多くの研究が進んでいますが、サプリメントの摂取と有酸素運動の併用が最も効果的であるとされています。体脂肪を燃焼させることで、ダイエットと肥満の予防・軽減、さらには高脂血症や糖尿病の予防効果が期待できます。脂肪燃焼に関してはビタミンB群の摂取が勧められています。ビタミンB群を摂取する場合、脂肪代謝に直接関係するのはビタミンB2です。また、人の体内で脂肪を燃やすためにはカルニチンも必要です。カルニチンはアミノ酸であるリジンとメチオニンによって体内で合成される物質で、脂肪燃焼アミノ酸の代表選手と言ってもいい成分です。他にも脂肪を減少させる作用が期待されているものには、キトサン、カプサイシン、シトラスアウランチウム、ヤーコン葉、桑の葉、ニガウリ、ギムネマ、ビール酵母などがあります。いずれの成分も、脂肪を燃焼させるには必ず有酸素運動と作用が異なった複数の素材を用いたサプリメントを上手に併用することが重要です。
スポーツをする人に必須なグルタミンの作用
グルタミンはグルタミン酸が体内のアンモニアをとらえ、酸性度を調節することによりつくられます。スポーツをする人にとって、グルタミンは必須の栄養素です。グルタミンは人体中で最も豊富に存在するアミノ酸で、骨格中に存在するアミノ酸の50~60%がグルタミンと言われています。スポーツによる疲労や病気などでストレスを受けたときに腸管や免疫細胞は急激にグルタミンを要求します。多くのスポーツ選手が風邪をひきやすいことやオーバートレーニング症候群を引き起こすのはグルタミン不足に陥ることが原因とも言われています。ただし、グルタミンは運動直後に摂取しないと効果はあまり上がらない。
まとめ
スポーツやトレーニングをする方は、一般の方に比べて全体的に必要な栄養素が多くなります。さらに外出先などでどうしても完璧な栄養バランスのとれた食事を確保するのが難しい場合もあるでしょう。そういった場合には、サプリメントでの補給は必須といえます。この記事を参考にして、パフォーマンスアップやカラダ作りに上手にサプリメントを利用してください。