ステビア(Stevia rebaudiana)は、パラグアイをはじめとする南アメリカ原産のキク科ステビア属の多年草の植物です。
草丈は約50cm~1m前後で、夏から秋にかけて、枝先に白い小花を咲かせます。
寒さ以外にはこれと言って弱点のない植物なのでハーブを初めて育てる方にもおすすめの品種です。
ブラジル及びパラグアイの先住民は、ステビアを甘味料として用いるだけではなく、
医療用として、心臓病、高血圧、胸焼け、尿酸値を低くするなどの目的で使用してきた歴史があります[1]。
現代においても、糖尿病や高血圧の治療や健胃剤、二日酔い、精神的疲労に対する強壮剤として利用されています[2]。
パラグアイでは、古くから整腸剤として、また美容のために全身に塗ったりして利用されてきました。
現在では、ステビアの茎の部分を主原料とし、発酵後に数年間熟成させた健康飲料や化粧品などに応用されています。
甘味料としてのステビアは、1971年に大阪の守田化学工業によって世界で初めて商品化されました。
【ステビアの効果・効能】
マイワシ油を使った抗酸化力の実験において、ステビアの茎を熱水抽出した成分には、
緑茶の5倍以上の抗酸化力があることが証明されました[3]。
この他、ステビアにはヒスタミンに対する解毒作用も確認されています [4]。
千葉大学薬学部の研究グループは、2006年に行われた「第49回日本糖尿病学会年次学術集会」において、
ステビアが2型糖尿病の原因の1つである「インスリン抵抗性」を細胞レベルで改善する可能性があることを、
世界初めて発表しました[5]。
また、ステビアの甘味成分であるステビオシドには血糖値を下げる作用があることや、インスリン抵抗性の改善の効能があるという報告がラットを使った臨床実験で報告されています。
【甘味料としてのステビア】
ステビアは、ステビオシドとレバウディオシドという成分が含まれていることから、
甘味料として使用されています。甘さは砂糖の200〜300倍と言われていますが、
カロリーはほとんどなく、天然の植物由来の甘味料であることから、
カロリー制限のために、糖質を控えたい人や、ダイエット中の方にはオススメの糖類と言えます。
また甘味はあっても砂糖のように虫歯菌の栄養になる糖類は含んでいないので虫歯の予防効果も期待できます。
ステビアは1970年代に販売されるようになってから砂糖の代替品として使用されてきました。
ステビアは過去、発がん性や妊娠の阻害の可能性を指摘され、使用を認めていない国がありましたが、
日本では多くの研究結果により、副作用は明確に否定されているので、健康に対する危険性は、
ないと考えられます。
現在では、アメリカ、インドネシアやEUでもステビアの利用を認めています。
ステビアは、砂糖と比べて大変コストパフォーマンスの良い添加物ということで、
幅広く色々な用途に使用されています。
【参考文献】
(1) Lewis,W.H. (1992) Early uses of Stevia rebaudiana (Asteraceae) leaves as a sweetener in Paraguay
(2)農水省農事試験場畑作部:「新甘味資源植物「ステビア」について」昭和49年1月
(3)東北大学農学部佐藤實・竹内昌昭:「ステビアの抗酸化活性とその利用」、食品と開発、vol.31, no.10, 1998
(4)佐藤實他;「ステビア抽出物のニジマスにおけるヒスタミンの解毒作用について」平成9年度日本水産学会秋季大会講演要旨集、1997
(5)5月26日 II-9-25 薬用植物STEVIAの抗糖尿病作用に関する分子薬理学的研究STEVIOSIDEのインスリン抵抗性改善作用 千葉大学大学院薬学研究院薬物治療学