妊活を目指す人が摂りたい栄養素

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「妊活」という言葉も、すっかり定着してきました。妊活とは、赤ちゃんが欲しいと、思い立った時から始まり、妊娠に向けて、パートナー同士の話し合いや、実際に赤ちゃんができた時の分担、細かな段取りに至るまで、赤ちゃんがいる生活をめざす行動、全般を表す言葉です。でも、妊活って何から始めたらいいの?と迷ってしまう方も多いと思います。

この記事では、妊活を目指す人が、健康的な生活を送り、妊娠しやすい環境を整えるために、「葉酸」という栄養素にスポットを当て、元気な赤ちゃんを授かるために、まずは自分たちでできることを、ご紹介いたします。

このような方におすすめの記事です

  • 妊娠中の方、妊娠を考えている方
  • 成長期のお子様がいる方
  • 貧血でお悩みの方
  • 肌荒れが気になる方
  • 動脈硬化を予防したい方
  • お酒をよく飲む方

葉酸とは?

「葉酸(ようさん)」という栄養素はご存じでしょうか。葉酸は、妊活中のご夫婦や、妊娠中から授乳中の女性にとって必要不可欠な栄養素です。

葉酸はビタミンB群の一種で、ビタミンM、ビタミンB9、とも呼ばれています。1941年に乳酸菌を増やす栄養素として、ホウレンソウの葉から発見されました。葉の部分から見つかったことで、葉酸と名付けられました。

なぜ、妊活に葉酸が必要なのか?

多くの先進諸国で行われた最新の研究結果によると、妊娠初期において、妊婦の葉酸の摂取量が不足すると、赤ちゃんに「神経管閉鎖障害」という先天性異常の発症リスクが高まることが明らかになりました。日本においても、平成11年に厚生科学研究は、国内の神経管閉鎖障害の発症率が増加傾向にあることを報告しています。さらに、食生活の多様化により、食物摂取の個人格差が大きくなり、葉酸摂取の不十分な者が増加する懸念があると示されました。

神経管閉鎖障害の発症リスクを低減させるためには、葉酸の摂取が有効であることが実証されています。厚生労働省は、専門家による検討会を設置し、2000年12月に、「神経管閉鎖障害の低減のための妊娠に対する葉酸の情報提供(1)」という通知を出し、葉酸の重要性を告知しています。

神経管閉鎖障害とは

神経管閉鎖障害とは、おなかの中の赤ちゃんの脳や脊髄など、中枢神経系のもとになる神経管が作られる妊娠の4~5週ごろに起こる先天性の異常です。この神経管は、正常であれば、妊娠後、約28日で閉鎖し発達するにつれて脳や脊髄になる器官です。胎児のこの部分に障害があると、奇形や下半身麻痺などが起こる神経管閉鎖障害となります。

神経管閉鎖障害の発症は、遺伝など多くの原因による複合的なものであり、葉酸摂取だけで発症を100%予防できるものではありません。しかし、妊娠可能な女性への葉酸の摂取が、その発症のリスクを低減させることが、研究結果により報告されています。欧米諸国においても、妊娠可能な年齢の女性に対して、神経管閉鎖障害の発症リスクの低減のため、葉酸の摂取量を増加させるべきであると勧告されています。

神経管閉鎖障害の発症リスクを低減させるには葉酸の摂取が重要であり、併せて、その他ビタミンなどを豊富に含む、栄養のバランスのとれた食生活が不可欠といえます。

葉酸の効果

葉酸は、食品にも含まれる天然のビタミンBです。葉酸が健康にどのような影響を与えるかを解明するために、多くの研究が行われています。その結果、葉酸には多くの有益な働きが発見されました。

  1. 胎児の神経管閉鎖障害を予防する効果
  2. 貧血を予防する効果
  3. 動脈硬化を予防する効果
  4. 脳の機能を改善する効果

胎児の神経管閉鎖障害を予防する効果

胎児神経管閉鎖障害児の出産経験を持つ母親を対象に、葉酸1日当たり4mgを妊娠直前から妊娠前期に摂取させたところ、胎児神経管閉鎖障害の明確な予防効果が見られたことから、葉酸に胎児神経管閉鎖障害予防効果があることが確認されました(2)

貧血を予防する効果

インドにおいて、約15万人の女性に対する葉酸摂取の貧血に対する効果を調査した。その結果によると、

約73%の割合で貧血の傾向があったグループが、葉酸を6ヶ月間摂取した場合、貧血の割合が約25%まで減少した。葉酸の摂取が、貧血の有病率を減らすのに費用対効果が高い方法であることが明らかとなりました(3)

動脈硬化を予防する効果

血漿中ホモシステイン濃度が著しく高いホモシステイン尿症は、動脈硬化や、血栓症を誘発することが報告されています。高ホモシステイン血症の男性100人に、葉酸を投与した結果、ホモシステイン濃度を約14.8%下げました。その結果、葉酸を含むビタミンサプリメントは、血漿ホモシステイン濃度を減らすことに有効であることが確認されました(4)

脳の機能を改善する効果

50~70歳の男女800人に対して、毎日、葉酸を3年間に渡り摂取させる調査を行いました。その結果、認知性能への影響は、情報処理速度、感覚運動速度において、有意に改善しました。葉酸の摂取は、年齢とともに減少する認知機能を、大幅に改善することが明らかとなりました(5)

葉酸とは、どのような性質の栄養素?

葉酸はビタミンB群の一種です。ビタミンBは水溶性ビタミンで水に溶けやすい性質の栄養素です。なので、一度にたくさん摂っても、余った分は、汗や尿に溶け込んで、体外に排出されてしまいます。つまり、体の中に、蓄積しづらい栄養素なので、必要な量を毎日、摂取することが重用になります。

また、葉酸は熱と光にも弱い性質があります。葉酸を含んだ食品を摂取する際には、なるべく加熱することなく、取り込むことが大切です。葉酸サプリメントなどは、直射日光などが当たらない涼しい場所で保存することがベストです。

葉酸の必要摂取量は?

葉酸の一日の摂取量は次の表の通りです。

一般妊婦授乳期
推定平均必要量200400280
推奨量240480340

   ※1日当たり ㎍

食事から摂る分に関しては、葉酸の過剰摂取による健康障害の報告はありません。なので、食事から摂る葉酸に対しては、これ以上摂取すると健康に影響が出るといわれる耐容上限量は設定されていません。一方、葉酸のサプリメントや、葉酸が強化された食品から摂取される葉酸に対しては、葉酸の重量として耐容上限量が一日当たり1.0 mg(1,000㎍)とされています。

葉酸を含む食品

葉酸を豊富に含む食品には、次のものがあります。

品名含有量(㎍)
焼きのり1,900
味付きのリ1,600
ワカメ1,300
鶏レバー1,000
牛レバー810
豚レバー440
大豆380
きなこ300
うなぎ肝260
たたみいわし250
えだまめ(ゆで)230

   ※100g当たり(㎍)

葉酸を摂るベストなタイミングは?

胎児の神経管閉鎖障害は、受胎後およそ28日目頃に起こる神経管の形成異常です。受胎前後に葉酸のサプリメントを投与することによって神経管閉鎖障害のリスクが低減することが明らかにされています。一方、多くの場合、妊娠を知るのは、神経管の形成に重要な時期よりも遅くなってしまいます。したがって、妊娠が判明してから葉酸サプリメントを摂取しても間に合わないのです。葉酸を摂取し始める最も良いタイミングは、妊娠を計画している段階といえます。

食品からの葉酸摂取で気を付ける事

葉酸は熱に弱く、加熱調理をした場合、約50%が分解します。また、葉酸は水溶性のため、ゆで汁などにも溶出します。葉酸は、調理した食材から効率的に摂取するには、難しい栄養素であるといえます。その点、サプリメントなどの栄養補助食品に含まれる葉酸は、体内での利用効率が、約85%であることが解っています。葉酸を効率的に摂取する場合は、サプリメントを利用することが、ベストな方法といえます。

まとめ

葉酸などのビタミンB群は、体のエネルギー代謝を担う中心的な栄養素と言えます。慢性的に不足すると、低体温にもなってしまいます。厚生省の調査が指摘している通り、現在、かなり多くの人たちに、ビタミンB群の不足が認められています。妊活のためにも、温かい体質づくりは重要です。ぜひ、葉酸の知識を妊活に活かし、理想のライフプランを実現してください。


オーガニック葉酸

(1)「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について」

(1)Effects and safety of periconceptional oral folate supplementation for preventing birth defects

https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD007950.pub3/full

(2)Weekly iron and folic acid supplementation with counseling reduces anemia in adolescent girls: a large-scale effectiveness study in Uttar Pradesh, India
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18947031/

(3)Vitamin requirements for the treatment of hyperhomocysteinemia in humans
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7931701/

(4)Effect of 3-year folic acid supplementation on cognitive function in older adults in the FACIT trial: a randomised, double blind, controlled trial
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17240287/

 

 

 

 

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