クマザサの効能
みなさん、「クマザサ」ってごぞんじですか?
パンダが食べている、あの「くま笹」です。
今回は、「クマザサ」の持つ有用な効果に焦点を当てながら、ご紹介いたします。
因みに、パンダはクマの仲間で、本来は肉食の動物ですが、パンダの食事の99パーセントは、笹が占めています。
クマザサについて
クマザサは、イネ科ササ属の植物で、主に山地に生育します。クマザサは、高さが1~2mになり、大型のササで、葉は長さが20cmを越え、幅は4~5cmほどになります。葉に隈取りがあるのが名前の由来で、この隈取りは、若葉にはなく、葉が越冬するときに縁が枯れて隈取りになります。「熊笹」の表記がありますが、正しくは、「隈笹」です。
日本では、古くからクマザサは、人々の生活に取り入れられてきました。クマザサの葉には防腐作用や殺菌効果が在るとされ、おにぎりや餅などの食品を包むのことに利用されてきました。
また、中国では、クマザサの名前が中国最古の薬物書「神農本草経」にも漢方薬として登場しており、遥か昔から、その効能が人々の健康に大きく貢献していました。
クマザサの有効成分
くま笹に含まれる有効成分は次の通りです。
葉緑素(chlorophyll)
葉緑素は、クロロフィルとも呼ばれ、植物や藻類などに含まれている緑色の天然色素です。植物が太陽光のエネルギーと、水、そして空気中の二酸化炭素から糖などの有機物を合成する光合成にかかわっています。
リグニン(lignin)
リグニンは、高分子のフェノール性化合物で、木質素とも呼ばれます。栄養学の分野では食物繊維としてのリグニンは、腸管内の残留物の排出に役立ち、大腸がん、肥満等の生活習慣病の予防防止、便秘や腸内環境の改善、ダイエット等に役立つとされています。
この他にも、クマザサには、ミネラル類、カルシウム、ビタミンC、ビタミンK、ビタミンB₁、ビタミンB₂などのビタミン類が豊富に含まれています。
クマザサの効果
クマザサは、昭和44年に当時の厚生省から有効性が認められ一般医薬品として承認された成分です。効能効果には、
- 疲労回復
- 食欲不振
- 口臭
- 体臭除去
- 口内炎
また、最近の研究で判ってきた効果として、次のものがあります。
- 血液浄化作用[1]
- 細胞賦活作用
- 造血作用[2]
- 殺菌・制菌作用
- 粘膜の保護修復作用
- 抗ガン効果[3]
- 消炎作用
- 創傷治癒促進作用[4]
- 抗アレルギー作用
- 腸の蠕動運動昂進作用
- 抗コレステロール作用[5]
- 抗潰瘍作用[6]
昔から万能薬として親しまれてきたクマザサの効能は、とても幅広いというのが特徴です。
ぜひ、毎日の健康のためにクマザサを取り入れるのも一つの方法です。
[1]Maternal-fetal distribution and transfer of dioxins in pregnant women in Japan, and attempts to reduce maternal transfer with Chlorella (Chlorella pyrenoidosa) supplements
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15985279
[2]Effects of sodium ferrous chlorophyll treatment on anemia of hemodialysis patients and relevant biochemical parameters
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27049084/
[3]Chlorophyll-Mediated Changes in the Redox Status of Pancreatic Cancer Cells Are Associated with Its Anticancer Effects
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30057678/
[4]Anti-human cytomegalovirus activity of constituents from Sasa albo-marginata (Kumazasa in Japan)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19024629/
[5]Effect of Chlorophyll on Plasma Lipids in Rats
http://ci.nii.ac.jp/naid/110003167414/ja/
[6] In vivo evaluation of Kumazasa extract and chitosan films containing the extract against deep skin ulcer model in rats
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18057735/